きれいめ派?トレンド派?欲しいが見つかるテイスト別アウター
ALL ABOUT BENETTON
現在、約100カ国に5,000以上の店舗を持つ『ユナイテッド カラーズ オブ ベネトン』の物語は、イタリアの小さな街から始まりました。創業者ルチアーノ・ベネトンがトレヴィゾで設立したニットブランドが、アパレル企業としてどのように成長を遂げ、社会に影響を与えながら現在に至るのか。その真髄にあるスピリットとともに辿ります。
HISTORY
自転車の荷台に妹の編んだセーターをのせ一枚ずつ売り歩くことからスタートしたルチアーノ・ベネトン。1955年に発売した色鮮やかなファーストコレクションは、保守的なファッションが一般的だった当時において斬新ともいえるものでした。しかしながら、自由を求める気運を追い風にして若者たちを中心に支持を獲得していき、65年には自社工場が完成します。これを機に『ベネトン』と名乗り、69年のパリ出店を皮切りに国外に進出、82年には日本にも上陸を果たします。
その後も企業として拡大成長を続け、80年代後半にはFormula 1のレーシングチームを所有。伝説のドライバー、ミハエル・シューマッハらとともに一時代を築き、92年のベルギーグランプリを始め世界チャンピオンとして何度も表彰台を飾り、『ベネトン・フォーミュラ』は長きに渡り4強の一角として君臨しました。
数々の話題や論争を呼んできたメッセージ性の強い広告キャンペーンも、『ベネトン』のストーリーを語る上で欠かせないものです。人種差別や宗教の違い、HIVなど、目をそむけられがちな社会問題にあえてスポットを当て、写真家オリビエーロ・トスカーニとともに展開したキャンペーンは、85年にフランスで「広告グランプリ」を受賞。その後も、死刑囚やへその緒がついたままの新生児、マフィアに惨殺された死者、口づけを交わす神父と修道女など、センセーショナルなビジュアルで話題を巻き起こし続けました。
2011年には世界の首脳同士がキスしている写真を広告に使用した「UNHATE」キャンペーンが「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」のプレスグランプリを受賞しました。
91年からは独自の視点を持ったテーママガジン『COLORS』を発行、94年には若い世代の才能を伸ばすことを目的としたコミュニケーション・リサーチ・センター『ファブリカ』を設立しています。
ACTION
アパレル企業として急成長を遂げる最中、1987年に設立した『ベネトン財団研究所』は、歴史的景観と環境の再生を目標とした施設です。以来、『ベネトン』は社会貢献と環境保護への取り組みに力を注いできました。その長年の企業活動が認められ、2013年には国際環境NGO『グリーンピース』の認証を取得。またその翌年の国連国際デーには、女性に対する暴力撤廃をテーマに掲げたグローバルキャンペーンを展開し、これをきっかけに世界中の女性の権利を支援する『ベネトン・ウィメン・エンパワーメントプログラム』をローンチさせました。
2017年にはヨーロッパのファッションブランドとして初めて『International Wool Textile Organization』に加盟。このことは、『ベネトン』の羊毛サプライチェーンが持続可能で透明性の高いものであると改めて認められた証です。ファッション性はもちろん、社会的な側面でも先駆けた存在であること。これもベネトン・スピリットのひとつなのです。
LATEST NEWS
かつての盟友オリビエーロ・トスカーニと18年ぶりに再タッグを組んだキャンペーンビジュアルがニュースとなった2018年に続き、今年『ベネトン』はさらに大きな決断を下しました。それは、ジャン・シャルル・ド・カステルバジャックをアーティスティックディレクターに迎えたことです。同氏は、デザインから絵画、広告、そしてストリートアートまで、幅広い分野において活躍を続けてきた才能豊かな人物。カラフルな色彩とポップアイコンを使用したそのスタイルには『ベネトン』の持つ世界観との親和性も高いはずです。
カステルバジャックはこう語ります。「『ベネトン』と私の業界における役割は似ています。情熱をニットで再現し、ポップカルチャーへの愛やレインボーカラーをコレクションに盛り込みたい。一緒に明日のワードローブを生み出し、手頃な価格で日常生活に美を提供したい」。カステルバジャックと『ベネトン』が描く色鮮やかな未来へ、2019年秋冬よりその幕が上がります。
STAFF CREDIT
Text_Sayaka Nishio